8月10日、お盆の入り口にあたるこの日、東京八重洲献血ルームへ行ってきました。数えて271回目の献血です。
世間は帰省ラッシュ。東京駅は大きなカバンを抱えた家族連れでいっぱいです。私は大学剣道部の仲間が主催する稽古会に9日と11日に参加することになっていたので、その間の日に献血の予約を入れて東京駅へ向かっていました。
問診や検査を終えて、今回はFベッドに案内されました。A〜Fベッドが一列目で窓際になります。この献血ルームの一列目は東京駅で行き交う人や車、高層ビルを眺めることが出来ます。
お盆の献血ルームは、いつも通りでした
まず、お盆の献血ルームがどうだったか。
ひとことで言うと、東京駅は帰省ラッシュで混雑していましたが、献血ルームは帰省ラッシュとは全く無縁でいつも通りの時間が流れていました。予約はたまたまキャンセルがあり、すんなり取れました。館内は東京駅とは対照的に落ち着いており、時間がゆっくり流れている感じがしました。
献血者が減りやすい時期というのがあるようです。厚生労働省の資料には、献血者数と献血量が減りやすい夏と冬に、国や都道府県、日本赤十字社が広報活動を行って血液を安定的に確保するよう努めている、という趣旨のことが書かれていました。7月の「愛の血液助け合い運動」も、その一環です。もっとも赤十字は冬場から春先の減少も指摘していて、夏だけが特別というわけではありません。
出典:厚生労働省「献血の推進について」(PDF)
そして肝要なのは、血液は長期保存ができないということ。「余ったぶんを来月に回す」ができません。一方で、病院の手術や治療にお盆休みはありません。血液を必要としている人は、8月も変わらずそこにいます。
世間が長期休暇で動いている時期に、私には予定のない時間がある。定年前の世代にとって、これはなかなか都合のいい話だと思うのです。
「Fベッド」はなかなかの景観でした
さて、この日案内されたのはFベッド。窓際の席です。
献血ルームのベッドには一台ずつ記号が振られていて、本採血で呼び出しがかかるまで分かりません。呼び出しのベル?で『*ベッドにきてください』とメッセージが出て、初めて知ることになります。勿論、東京駅の見えない二列目のベッドになることもあります。
私は窓際派で、何も考えずに東京駅の往来を見るのが楽しみです。

善意で痛みや長時間の拘束も受け入れて、献血ルームに来る人たち。ネガティブニュースが多い世の中でここの空気感が、私には心地よいのです。
私がいつも選んでいるのは成分献血です。腕を預けたまま、40分から1時間ほど。全血献血に比べると長丁場になります。スマホをいじったり、外の景色を眺めていたりとゆっくり時間を過ごします。

窓の外は、東京駅。
白い膜屋根が波打つように連なっているのが見えます。その向こうにはビル群。夏の入道雲と、青い空。

眼下のロータリーには、タクシーとバスがひっきりなしに出入りしています。人が歩き、車が流れ、バスが止まってはまた出ていく。
腕から血液が抜けていく間、私は東京という街がふつうに動いているのを、ただ上から眺めていたわけです。
窓際の席、おすすめです。東京八重洲献血ルームに行かれる方は、頭の片隅に入れておいてください。
なぜ私は「成分献血」を選ぶのか
ここで、回数を重ねたい方に一つお伝えしておきたいことがあります。
献血には大きく分けて全血献血と成分献血があり、次にまた献血できるまでの間隔がまったく違うのです。
| 献血の種類 | 次に献血できるまで |
|---|---|
| 400mL全血献血(男性) | 12週間後 |
| 400mL全血献血(女性) | 16週間後 |
| 200mL全血献血 | 4週間後 |
| 血漿成分献血・血小板成分献血 | 2週間後 |
出典:厚生労働省「採血基準」(PDF)。期間の計算は採血を行った日から起算します。
400mL献血をすると、次は約3か月先。年に3回が上限です。対して成分献血なら2週間後にはまた行ける。
今回の私の記録を見ても、8月10日に献血して、次に協力できるのは8月24日から。ちょうど2週間後です。
回数を重ねたいなら成分献血、というのはこういう理由です。もっとも、これは「回数が目的」という話ではありません。血液センターがそのときいちばん必要としているものに応じるのが本来の姿で、受付で「今日は血小板が足りていません」と言われれば、私はそちらに合わせます。
ただ、間隔の違いを知っておくと予定が立てやすいのは確かです。「次はいつ行けるんだったかな」と迷わずに済みます。
なお、年齢の条件についても知っておくと安心です。65歳から69歳の方が献血をするには、60歳から64歳までに献血の経験があることが必要になります。この話は前回の記事に詳しく書きました。
昼ごはん、親子丼にフラれる
献血を終えると、当然のようにお腹が空きます。
献血で頑張った自分へのご褒美で昼ごはんは献血ルームに来て、食べたいと思うメニュー最優先で近くにどのような店があるのか、リサーチします。今日は親子丼の気分です。たまに行く親子丼の店ではなく、少し気になっていた、Googleで高評価の店を訪問するつもりでした。
意気揚々と店の前まで歩いて行くと──
8月中は休業中の張り紙。
Googleでは営業中となっていましたが、残念なことにお休みでした。
しかたないので、家の近くに戻り、次に食べたい店に行きましたが、そこもお休み。なので、前から気になっていたお弁当を買って食べることにしました。

これが、優しい感じがして良かったのです。
黒ごまをふった白いごはん。豚の生姜焼き。れんこんのきんぴら。キャベツの千切りに、ミニトマトが赤と黄で二つ。ホイルに包まれたキャベツの小鉢まで付いています。
献血のあとというのは、しっかりした味が体に染みます。生姜焼きの甘辛いたれと白いごはん、これで十分でした。れんこんの歯ごたえもいい。
親子丼は、また次回の楽しみに取っておきます。楽しみが一つ先送りになっただけ、と思えば悪くない話です。次に献血へ行く理由が、一つ増えました。
【余談】献血後は水分をしっかり摂ってください。特に夏場は必須です。私はお弁当と一緒にお茶を多めに買って、ゆっくり食べるようにしています。
輸血を受ける人の85%は、50歳以上です
さて、これは豆知識です。
日本赤十字社が公表している数字に、こういうものがあります。
輸血用血液製剤を使用している人の約85%は、50歳以上。
一方、献血に協力している人の60%以上は、50歳未満。出典:日本赤十字社「血液事業の現状とこれから」(2026年8月確認)
もう一度、ゆっくり読んでみてください。
使っているのは、私たちの世代。
献血しているのは、子どもや孫の世代。
この数字を初めて見たとき、納得感がありました。
輸血を受けるのは、がんの治療をしている人、大きな手術をする人、事故に遭った人。年齢を重ねれば重ねるほど、その可能性は上がっていきます。50歳以上が85%というのは、そういうことです。
ところが、その血液を出しているのは圧倒的に若い世代なのです。しかも赤十字は同じページで、10代から30代の若年層の献血者数が減少傾向にあり、少子高齢化が進めば将来の安定供給に支障をきたす恐れがある、としています。
若い人は減っていく。使う側の高齢者は増えていく。この二本の線がどこで交わるか、計算するまでもありません。
私が献血を続けている理由の一つが、ここにあります。
若い時は「支える側」であっても、還暦を過ぎて、社会から「支えられる側」になっていく。年金を受け取り、席を譲られ、割引を受ける。それが当たり前になっていく。
でも献血は、まだ出す側でいられる。しかもそれは、健康でなければできないことです。血圧、体重、血色素量。基準を満たしている人にしか、この社会貢献は許されていません。
健康であること自体が、誰かの役に立つ資格になる。
これは、健康である私の権利でもあり、義務の一つと思っています。
271回という数字も、狙って積み上げたものではありません。行ける日に行く、それを何十年か繰り返しただけです。一回ずつは、腕を出して一時間座るだけの話でした。
私が何者かについては、こちらに書いています。
まとめ
- 夏と冬は献血者が減りやすい時期とされている(厚労省資料)。実際、お盆の献血ルームは帰省ラッシュの中でも静かだった
- 東京八重洲献血ルームの窓際ベッドなら東京駅を眺める時間は思いのほか贅沢
- 成分献血なら次は2週間後、400mL全血献血なら約3か月後。間隔がまるで違うので、予定を立てるときの目安に
- 輸血を受ける人の約85%は50歳以上。一方、献血する人の60%以上は50歳未満
- 献血に頑張った自分にランチのご褒美を
親子丼にはフラれましたが、いい景色と弁当を経験した一日でした。
一打入魂。OBザムライでした。



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